UCC ひと粒と、世界に、愛を

COFFEE MEETS CULTURE 
Interview/作家・片岡義男さん
「コーヒーは作品を生み出し、
人との関係性に変化をもたらす」

Dec 09.2021

2018年1月、エッセイ『珈琲が呼ぶ』を刊行した作家・片岡義男さん。 小説の小道具としてもコーヒーを多く用い、自身もコーヒー好きと話す片岡さんに、 コーヒーの魅力について尋ねた。

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“椅子にすわって1時間ほど人と話をして過 ごすための、切符のようなものがコーヒーだった。”

片岡義男さんのエッセイ『珈琲が呼ぶ』には、こんなフレーズが登場する。

昭和の街並みや昔ながらの喫茶店の風景、人と人との物語が、コーヒーとともに描かれる本書。片岡さんの手にかかると、何気ないコーヒーのある日常が魔法のように美しく見えてくる。

もちろん、自他ともに認めるコーヒー好き。楽しみ方は3通り。1つ目は、自宅でお気に入りの コーヒー豆を挽き、じっくりと味わうこと。2つ目は、執筆をするために、ひとりで喫茶店に訪れ、想像力を豊かにすること。3つ目は、打ち合わせや、おしゃべりをして過ごすこと。

コーヒー豆やカップにこだわる
「自宅のカフェタイム」

「全国各地から気に入ったコーヒー豆を取り寄せています。最近は品質も良くなり、味わい深いコーヒーが増えていますよね。封を切ると漂う深煎りのコーヒー豆の香りを嗅ぐのが好きなんです」

愛用しているカップは2種。アウトドアブランドが扱うティタニウム製のダブルウォール (二重構造)マグカップと、ずっしりとした厚口のマグカップ。どちらも熱が伝わりにくいので、 熱々のコーヒーでも手のひらでカップを包み込み、口に運ぶことができる。淹れたての香りと味わいを大切にするのが、片岡さんのコーヒーへの愛だ。

クリエイティビティが発揮される
「ひとりで訪れる喫茶店」

「喫茶店で目の前のコーヒーを眺めていると、 創造性が高まります。昔は喫茶店が軒を連ねていて、 メートルも歩かないうちに次のお店に 辿り着くほどだったんですよ」と語る片岡さん。 学生の頃から通い詰めた東京・神保町界隈の思い出のお店は、作家になった時に「仕事場」となった。

1時間程度過ごし、1杯飲み終わったら次の店へ。長居することなく何軒もハシゴするのが、 片岡さんのスタイル。近頃は昔ながらの喫茶店はもちろん、カフェやコーヒーチェーン店にも足を運ぶ。「喫茶店では書かなければ帰れないという思いで執筆しています。それに、家にいると編集者に見張られるので、書けるものも書けない(笑)」

喫茶店は片岡さんにとってクリエイティビティを発揮する大切な場所だ。

関係性に変化をもたらす
「誰かと過ごす喫茶店」

片岡さんにとって〝喫茶店で誰かと過ごすとき〞は、なくてはならない時間だ。たとえば、気の置けない友人と洋画の邦題談議。好みの話題 にコーヒーがあれば話も広がる。「コーヒーを挟んで向かい合っていると、人との関係性が自然と発展しますよね」

共有する記憶や感性を確かめ合う。楽しい時間のなかで、友情がさらに深まる。「そして僕はまた、コーヒーが登場する小説やエッセイを書くのでしょうね」

喫茶店という空間でインタビューを終え、またひとつ、クリエイティビティの種が生まれていく。

教えてくれた人

片岡義男さん

1939年東京都生まれ。作家、写真家、翻訳家。 1974年に作家としてデビュー。著書に『ス ローなブギにしてくれ』(角川書店)ほか多数。 近著に『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットの タイ。』(光文社)、『と、彼女は言った』(講談社) など。2018年1月刊行の『珈琲が呼ぶ(』光文社) が9月時点で第5刷となり、好評を博している。

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