COFFEE MEETS CULTURE Italy Edition
イタリア、カフェ文化の始まり。
さっと立ち飲みするバールから、ゆったりと座れるカフェまで、コーヒーをたしなむ場所が、とにかくたくさんあるイタリア。創業200年を超える 2 つの老舗カフェからイタリアのカフェ文化の始まりをひもとこう。
イタリアのカフェの歴史は1645年、ヴェネツィアのサン・マルコ広場周辺に、イギリスから広まった社交場も兼ねた「コーヒーハウス」と呼ばれるカフェが開店したのが始まり。1720年に開業した『Caffè Florian(カフェ フローリアン)』は現存する世界最古のカフェだ。作家のヘミングウェイ、アーティストのアンディ・ウォーホル等、世界中から著名人が集まり、人気は衰えることなく現在に至っている。カフェ・ラテ発祥のカフェとしても知られ、コーヒーとミルクが別々に用意され、高い位置から同時に注ぐという伝統的な作り方で目の前でサーブされる。
また、ローマ最古のカフェ『Antico Caffè Greco (アンティコ カフェ グレコ)』 は1760年創業、イタリアでは2番目に古く、デミタスカップの発明で世界に名を広めたことでも知られる。ここにも、詩人のゲーテ、作家のアンデルセン、音楽家のワーグナーやリスト等、そうそうたる文化人が訪れていた。当時のイタリアのカフェは、文化人たちが集うサロンであり、情報交換の場でもあったのだ。
その後、1901年にミラノでエスプレッソマシンが開発され、たちまちイタリア全土に広まり、さっと立ち飲みができる現在のスタイルの「バール」が誕生し、イタリア人にエスプレッソはなくてはならない存在に。そして近頃はゆっくりと仕事をしたりコーヒーについて学べるような新しいスタイルの「カフェ」も登場してきたが、長い時間を経た今も、イタリアではコーヒーのある場所は、人々の交流の場であり、社交場としての役割を担い続けている。