最新コーヒーカクテルと過ごす
穏やかで特別なひと時を。
photography:Kenya Abe (UNLIMITED COFFEE BAR), Satoko Imazu(BREWER'S COFFEE & BAR)
text:Yoko Fujimori
edit:Chisa Nishinoiri
コーヒーカクテルの先駆的存在、
下町エリアのコーヒーバー
『UNLIMITED COFFEE BAR TOKYO』へ。
東京スカイツリーのお膝元と言うべき、墨田区業平。江戸情緒を求めて海外からの観光客が行き交うこのエリアに、2015年夏にオープンした『UNLIMITED COFFEE BAR
TOKYO』。バリスタのトレーニングや国内外の競技会の審査員を務める2人のコーヒーディレクター、松原大地さんと平井麗奈さんが立ち上げた店で、2階にバリスタ育成のセミナーやトレーニングなどを行うラボを構え、1階のカフェではスペシャルティのコーヒー豆をエスプレッソドリンクやハンドドリップなどさまざまな抽出法で味わえる。店名に「COFFEE
BAR」とあるように、2015年当時はまだ稀少だったオリジナルのコーヒーカクテルをいち早く提供した店としても知られている。
カウンターに立つのはトレーニングを積んだプロフェッショナルのバリスタのみで、桜井志保さんはキャリア約8年。カウンター越しに桜井さんから抽出法やコーヒー豆一つ一つのストーリーを聞けるのもバーの醍醐味だ。
オリジナルのコーヒーカクテルは約15種類。いずれも自家焙煎のスペシャルティコーヒーの豆を使い、それぞれの豆の個性を際立たせる味わいに仕上げている。
「代表の平井がイタリアへ留学した際に、コーヒーもお酒も出す現地のバール文化に惹かれ、自身でもそんな店を出したいと思ったことがきっかけだそうです。私もこの店に来るまでコーヒーのプロフェッショナルが作るカクテルに出会ったことがなかったので、新鮮な驚きでした」と桜井さん。まず最初にいただいたのが「エスプレッソラムカウ」。真っ白なニット帽型の陶製カップがあまりにフォトジェニックで、すっかり店のシグネチャーとなっている一杯だ。
中炒りのエチオピアのエスプレッソと樽熟成のスパイスドラムに、きめ細かに泡立てたフォームミルクを合わせた温かなカクテル。エチオピアのエレガントでフルーティーな酸味にミルクとラムの甘味が調和する、寒い季節にぴったりなデザートのような味わいだ。
クリーミーな「エスプレッソラムカウ」と対照的なのが「コールドブリュージントニック」。コールドブリュー(水出しコーヒー)にドライジンとトニックを合わせた、ハーバルな苦味が広がる爽やかな飲み口。実は代表である松原さんと平井さんがイタリアのカフェで偶然このカクテルと出会い、「あまりの美味しさにカフェのオーナーの承諾を得て、日本で最初にこの店で紹介したんです」(桜井さん)。確かに、水出しのコーヒーを使うことでより味がクリアになり、酸味と苦味にさらに清々しさが増している。上質な水出しコーヒーがあってこその味わいの一体感なのだろう。
最後に、クラシックカクテルの代表格「エスプレッソマティーニ」を。エスプレッソにウォッカ、少しのカシスリキュールを加えてツイストした店のシグネチャーカクテルで、心地よく明るい酸味があり、重厚な苦味が不得手な人にもぜひトライして欲しい味わいだ。
「コロナが明けてから、国内はもちろん海外からもコーヒー好きの方やプロのバリスタさんがはるばる来てくれるようになって、嬉しいですね」と桜井さん。浅草寺や隅田川、スカイツリーなど江戸情緒あふれる界隈を散策しながら、インバウンドのツーリストたちとコーヒーカクテル片手に旅の話に花を咲かせる…。この店なら、そんな最高のコーヒー体験ができるはずだ。
アンリミテッドコーヒーバー
UNLIMITED COFFEE BAR TOKYO
所在地:東京都墨田区業平1-18-2 1F
TEL : 03-6658-8680
営:12:00〜18:00(17:30LO)
土曜10:30〜19:30(19:00LO)
日曜祝日10:30〜19:00(18:30LO)
休:無休
Web:http://www.unlimitedcoffeeroasters.com
Instagram:@unlimitedcoffeetokyo
あの一流ホテルの一角に現れた
コーヒーカクテルを嗜めるバー
『ブリュワーズ コーヒー&バー』。
ホテルにもコーヒーカクテルに力を入れる店が登場している。赤坂の『ANAインターコンチネンタルホテル東京』に2023年8月にオープンした『ブリュワーズ コーヒー&バー(BREWER'S COFFEE & BAR)』は、高品質のコーヒー豆を使い、一杯ずつ抽出することにこだわったコーヒーショップ。確かに、大手のホテルでオーダーごとに一杯ずつ豆を挽き、エスプレッソのみならずハンドドリップやサイフォンで淹れたコーヒーが味わえる店はまだまだ珍しい。
再生利用の天然木材をフローリングやカウンターに配した空間デザインは、温かく開放感があり、高級ホテルの一角にありながら、まるで街に佇むカフェのような雰囲気だ。「世界中からゲストが集まる東京のホテルでいろいろなコーヒーを紹介できるのが楽しい。特にサイフォンは珍しいので喜んでいただけますね」と、この日コーヒーを淹れてくれたコロンビア出身のバリスタ、マニュエル・フィリップ・カストロさん。
コーヒーカクテルは、この店のオープンに合わせて誕生した「ブリュワーズ・エスプレッソ・マティーニ」と「カフェ
ネグローニ」という2つのシグネチャーがある。味の骨格はともにエスプレッソに使用する香り高い『Largo』のブレンドだ。
「ブリュワーズ・エスプレッソ・マティーニは、ウォッカにバニラビーンズを鞘ごと漬けてインフューズしたオリジナルのバニラウォッカを使っています。4〜5日漬け込むと甘い香りが移るんですよ」とマニュエルさん。
片や「カフェ
ネグローニ」は、カンパリに『Largo』のオーセンティックローストを豆のまま1週間ほど漬け込んだものを使用。マティーニとネグローニというクラシックカクテルを、インフューズという新たなテクニックを加えて進化させている。
「カフェ ネグローニ」を一口飲むと、カンパリとコーヒー豆の持つ苦味やハーバルな風味が共鳴し合う。爽やかなビター感が広がって、食前酒にも良さそうだ。
ホテルクオリティの本格スイーツと
コーヒーのマリアージュ。
そして『ブリュワーズ
コーヒー&バー』は、スイーツやフード類の“バイツ(頬張る)メニュー”が充実していることも特徴。特にホテルのペストリーチームが手がけるスイーツは、看板のレッドベルべットケーキをはじめニューヨークチーズケーキやガトーショコラ、オートミールクッキーなどのほか、ヴィーガン対応やグルテンフリーのアイテムも揃える。
サイフォンコーヒーはブレンドでなくシングルオリジンの豆を使用し、この日は中炒りのペルー。コーヒーと一緒にホテルメイドのペストリーとのマリアージュが楽しめることにも嬉しくなる。
最後に「この店はラテもおすすめだよ」と、にこやかにスワンのラテアートを作ってくれたマニュエルさん。一流ホテルのホスピタリティを感じながら、あくまでもカジュアルで寛げる場所。こんな店でコーヒーカクテルデビューをするのもきっと楽しいはず。
ブリュワーズ コーヒー&バー
BREWER'S COFFEE & BAR
所在地:東京都港区赤坂1-12-33『ANAインターコンチネンタルホテル東京』3F
TEL : 03-3505-1185 (レストラン予約)
営:10:00〜18:30 (18:00LO)
休:無休
『Largo』認定ランク:シルバー(2024.11時点)
※価格はすべて消費税・サービス料込み
※2025年1月6日以降、サービス料15%に変更
Web:https://anaintercontinental-tokyo.jp/dine/brewers-coffee-bar/