日本初、ゼロ・ウェイストな
スーパーマーケット!
photography:Satoko Imazu
text & edit:Chisa Nishinoiri
京都で楽しむ、量り売りのお買い物。
「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)」という言葉を知っていますか? 大量生産、大量消費、大量廃棄の現代社会に疑問を持った人たちを中心に、プラスチックに限らずごみ全般をできるだけ出さない生活スタイルを目指す概念が、昨今世界中に広まっています。
スーパーマーケットに並ぶ、プラスチックで個別包装された野菜や肉などの生鮮食品、お会計をするたびに自動的に出てくるレシート……。日本でもマイバッグ持参の買い物が少しずつ根付いてきているけれど、私たちの周りには、“いずれごみになる”もので溢れています。
ごみになるものをなるべく家に持ち込まない、循環サイクルを意識した買い物をする、生ごみをなるべく出さない調理法を意識するなど、自分たちで選択できることはたくさんあります。けれど、毎日の生活に欠かせない食材や日用品の買い物で訪れた先が、ゼロ・ウェイストを実現してくれるスーパーマーケットだったら、それだけでなんだかワクワクしませんか?
目指すのは、「地球一個分の暮らし」。
2021年7月にオープンした、ゼロ・ウェイストな考え方を全面的に取り入れた量り売りのスーパーマーケット『斗々屋 京都本店』。
新鮮な有機野菜や果実はもちろん、利尻こんぶや鰹節などのダシ類から、お米、うどん、パスタなどの主食、醤油や油などの調味料に、味噌や豆腐、納豆まで! 日々の食卓に欠かせない食材がすべて20gから量り売り可能で、瓶詰めの商品も容器の返却が可能。さらに忙しい時に嬉しいデリやスイーツ、ワインなどの飲料、粉せっけんや重曹など環境に優しい洗剤まで。もちろん、コーヒーもドリップ1回分から量り売りOK。『斗々屋 京都本店』では、京都にある『COYOTE COFFEE』の厳選するコーヒー豆などを販売しています。
「COYOTEさんは、
エルサルバドルの農園から直接仕入れていて生産者と消費者をつなぐ取り組みを意識されているため、斗々屋と親和性を感じ、仲良くさせていただいております。お店で焙煎されたお豆を斗々屋にお持ちいただいております」と、代表の梅田温子さん。
さらにコーヒー豆を回収して、きのこの生産者さんに活用してもらう活動にも参加しているそう。
「この後は、その輪をより強化できればと思っています。飲む前、飲む間、飲んだ後、これをもっと密接にすることで、2050年問題などへの意識も高まり、生産者が損せずに、いきいきと生産を続けられる仕組みに向かえると思っています」
さらに店頭には、「オーガニック」「フェアトレード」「ゼロ・ウェイスト」を基準に選ばれた地球にも身体にも優しい上質な商品が、ずらりと700品以上。まるで宝物探しをするようなワクワク気分を味わえます。
「おいしいものを売るのは当たり前ですが、ただオーガニックな商品を売るだけでも意味がない。ゼロ・ウェイストや食に興味がある人は自分で取捨選択をして生活に取り入れていますし、そういう人はすごくコミットしている。だけど、自分だけキレイな生活をするのも違うかな、と。その根底にある正しいお金を生み出す方法、納得できる循環サイクルを生み出したいとずっと考えていたんです」
19歳からフランスへ渡り、現地で料理人として活躍していた梅田さん。食やオーガニックに関心の高いフランスでは、おいしくて安心安全な食材であることはもちろん、マルシェやスーパーマーケットでの量り売りは当たり前に暮らしに根付いていたと言います。
そんなバックボーンがある梅田さんが納得してセレクトした商品しか並んでいないのだから、おいしくないわけがない! 外国人のお客さんはじめ、「こういうお店が欲しかった!」という声が多数寄せられているそう。
最新システムでお会計も楽々。
買い物に必要なのは、さまざまなマイアイテムです。自前のバッグや瓶や保存容器などがあると便利ですが、手ぶらで立ち寄ることになっても大丈夫です。バッグやスタッシャーなどの容器が購入可能ですし、次回来店の際に持参すると預かり金が返金されるデポジット方式のリターナブル容器も充実しています。
パッケージがないのにどうやって会計をしたら良いの? と最初は戸惑うかもしれません。けれど購入方法はとても簡単です。導入されているのは国内外最先端の量り売りシステムです。陳列棚から商品を取り出すとモーションセンサーが反応し、近くの電子量りに商品情報を自動で伝達。食材の入った容器を電子量りにのせると、直前に感知した商品名がスクリーンに表示される仕組みになっています。表示された候補の品目から自分の購入する商品を選ぶとバーコードが出てくるので、それを商品の容器に貼るだけと、一度覚えてしまえばとてもスムーズ。家に持ち帰った後も包装のごみが出ないので、必然的にごみ出しの回数も減り、それだけでストレスフリーに近づけます。
そして商品を選ぶ際には自分で量を決めます。その都度グラムが表示されることで自分の生活に必要な量を意識するきっかけにもなり、無駄な買い物を減らすことにもつながります。
ちなみに斗々屋では、デリの販売や奥のカフェでランチも楽しむことができますが、なんと店からのごみ出しは2ヵ月に1度程度だというから驚きです。
「店頭で鮮度が落ちる直前の食材はデリにして販売し、カフェやレストランメニューとしても楽しんでいただけるので、もちろん食材のロスはありません。生鮮食品などの生ごみはコンポストして、近くの農家さんに送って堆肥として使ってもらっています」
世界に増やそう、斗々フレンズ!
こんな楽しいスーパーマーケットが近所にあったら最高ですよね。自分の住む街にないからと諦めることはありません。実は、ゼロ・ウェイスト・ショップは個人事業主でも始められるので、自分で始めてみる! という選択肢もあります。斗々屋では開業のためのオンライン講座を開設したり、量り売りの現場研修も実施しています。
「実は斗々屋も、当初は東京の代々木公園にある『Wonderland』さんに間借りする形でスタートしたんです。イベント形式で出店される方もいらっしゃいますし、別の事業をしている人と一緒にスペースを間借りしたり、自宅併設のアトリエで営業することもできます。オンライン講座を受講してくださった方々には、同じ志を持つ仲間と情報交換できるプラットフォームをご用意しています。『ゼロ・ウェイスト・ショップって本当にごみが出ないの?』『オーガニックって値段が高いけど、どうしてこだわるの?』そんな素朴な疑問にも真摯にお答えします。大学の課題で『量り売り』や『ゼロ・ウェイスト』について取り上げたい方にもおすすめです。講座は、開業プロセスや量り売りに関する専門的な話がメインではありますが、まだ明確な目標が見つかっていないという方にも、ぜひ選択肢の一つとしてゼロ・ウェイスト・ショップの世界を知っていただきたいと思っています。このオンライン講座をきっかけに、あなたに合う何かが見つかると嬉しいですね」
持続可能性を追求したゼロ・ウェイストに興味を持ったあなた、まずは日々のお買い物から始めてみませんか?
斗々屋 京都本店
所在地:京都府京都市上京区出水町252 大澤事務所本社ビル1F
営:11時〜19時、イートイン11:30〜18:00(ランチ11:30〜14:00、パフェ11:30〜17:00)
休:無休
完全キャッシュレス会計
Instagram:@totoya_kyoto