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So, Coffee?

COLUMN

エスプレッソとおもてなし。
フランス料理シェフ
三國清三さん 特別インタビュー。

Dec 10.2021

フランス料理の名店『オテル・ドゥ・ミクニ』のオーナーシェフとしてレストランに立ち続け、日本のフレンチ界を牽引する三國清三さん。コース料理の余韻を大切にするシェフが、エスプレッソに求めることとは?

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「食後の余韻を満足していただくために、料理にあったエスプレッソを」

ある日のコースのデザート。東京の杉並区で採れた「内藤栗」のグラスモンブランと、「Largoオーセンティックロースト」で淹れたロングブラック。

エスプレッソは1日20杯が習慣
僕は、いつも1日20杯程度のエスプレッソを飲むんです。20歳でヨーロッパへ渡って以降、 エスプレッソを飲んで育ちました。イタリアやフランスでは、コーヒーといえば濃いエスプレッソですが、僕は量をたくさん飲むので本場ほどは濃く淹れません。 こう見えて低血圧なので、 朝は目覚めにまず一杯飲んで、眠い体を起こします。仕事中は集中力を上げるために頻繁に飲んでいますね。疲れたときは、少し砂糖を入れて飲むといいリフレッシュになる。レストランでもコースの最後にはエスプレッソを使ったロングブラックをお出ししているんですよ。

五感を満足させる最高のおもてなし
『オテル・ドゥ・ミクニ』は、記念日やお祝い事での来店がとても多いレストランです。絵画や音楽で演出した空間で、四季によって変える食材や器で、旬を感じながら料理を楽しんでいただく。 日本人らしい五感を刺激するような、 おもてなしを心がけています。僕は、お客様が来店する前からレストランを後にしたときのことまでをシナリオのごとく頭の中に思い浮かべるんです。お客様が四ツ谷駅に降り立ち、ビル街を抜けて、迎賓館や公園を脇に眺めながら歩き続けると、緑に囲まれた一軒家のレストランにたどり着く。五感を楽しませてくれる空間のなかで食事をして、翌日の朝、起きたときに「気分がいいわ。昨日はレストランに行ってよかったね」といっていただく。これが僕のよろこびなんです。本当に気分がいいと、翌朝まで幸福感が続くものなのですよ。


コースの最後にお出しするコーヒーがこの幸福感を倍増させます。食後のコーヒーは味や香りのバランスがとても大切で、強すぎても弱すぎてもいけないのです。鮮度の良い「Largo」の芳醇なアロマとフルーティーな味わいはちょうど良いバランス。レストランで扱う食材のように、なかなか産地に出向いてまでコーヒー豆を入手できませんが、ブレンドされている品種やそのバランスを見極め、コーヒーをベストな状態で保管・提供できるようにしたい。それを含めたエスプレッソ選びが大切で、自分の店では、「Largo」 がふさわしいと思ったため、 食後のコーヒーとしてお客様にお出ししています。

教えてくれた人

三國清三シェフ

1954年北海道増毛町生まれ。15歳で料理人を志し、札幌グランドホテル、帝国ホテルにて修業後、1974年駐スイス日本大使館料理長に就任。トロワグロ、アラン・シャペル等三つ星レストランで修業を重ね、1983年帰国。1985年、東京・四ツ谷にオテル・ドゥ・ミクニ開店。2007年、厚生労働省より卓越した技能者「現代の名工」として表彰される。2015年フランス共和国よりレジオン・ドヌール勲章シュバリエを受勲。食育活動やスローフード活動にも力を注ぐ。

HÔTEL DE MIKUNI

住所 東京都新宿区若葉1-18
電話 03-3351-3810
営業 ランチ12:00 ~ 14:30(L.O.)、ディナー 18:00 ~ 21:30(L.O.)
休み 日曜日の夜、月曜日

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