So, Coffee?

「ロブスタ種」の栽培が95%を占めるベトナムのコーヒー産業において、ラムドン省の中心・ダラット市は「アラビカ種」の主要生産地。このコーヒータウンに、2015年にひとつのカフェがオープンした。『La Viet Coffee（ラ ヴィエット コーヒー）』は、ロブスタ種の豆を深く焙煎して香料を加え、濃く抽出するという伝統的なコーヒーの飲み方ではなく、「アラビカ種の香りや酸味を含んだ良質なコーヒーを楽しんでもらいたい」という想いから生まれた。コーヒー豆は直接農家から買い付け、脱穀から焙煎までを自社で行っているのも産地ならではである。さらにアラビカ種のコーヒーを普及させるために、消費者向けセミナーや品質向上のための農家への指導も行なっている。

アラビカ種の豆をストレートで飲んでいる欧米や日本のコーヒースタイルがベトナムで注目され始めたのは、ごく最近のこと。2012年にホーチミンで、アメリカのコーヒー文化に興味を持ったアーティストたちが集まり、コーヒーの楽しみ方を研究するサロンが開催された。その後ハノイやホーチミンの都市部を中心に、次々とニュースタイルのカフェがオープン。

進化し続けるベトナムコーヒー業界にこれからも注目していきたい。

La Viet Coffee／ラヴィエットコーヒー
栽培から1杯のコーヒーができるまで。産地で味わい、学べるカフェ。

店内が 1,000㎡もある広さの理由は、カフェスペースだけではなく、焙煎室や生豆の精選室、アラビカ種コーヒーの知識を広く一般の人にも伝えるセミナールームまであるから。さらに、農園を見学できるプログラムも人気で、栽培から精選、そしてコーヒーが提供されるまでの、“コーヒーのすべて”を体験できるユニークなカフェとして注目されている。

The Workshop Coffee／ザ ワークショップ コーヒー
カフェはステージ、パフォーマンスも楽しんで。

フランス統治時代の建物を懐かしい雰囲気で、より開放的な空間にリノベーション。コーヒーや抽出方法を自分好みに選べるなど新しいスタイルも発信。ベトナムのコーヒーカルチャーを牽引するショップとして、最も注目されている。中央にカウンターを設けたのには「スタッフにとって、この空間がステージ。目の前にいるお客様には、パフォーマンスも楽しんでもらいたい」との想いが込められている。

Shin coffee／シン コーヒー
アットホームな雰囲気でスタッフとの距離感が心地よい。

日本好きのオーナーが、ベトナムの人々にも上質なコーヒーを楽しんでほしいという想いでオープン。カウンターでは会話をしながら、その日のおすすめのコーヒー豆と淹れ方を提案。注文後に挽かれた豆は、抽出前に実際に香りを確認させてくれる。また、カップの種類が豊富で、コーヒーに合わせて一人ひとりに合ったカップで提供される。カップはオーナーが日本を訪れるたびに、ハンドキャリーで持ち帰り集めたもの。

［a］cafe／ア カフェ
ブームのを牽引する、伝説のカフェ。

2012年より、おいしいコーヒーを楽しむサロンを開催。オーナーのチュウさんが、カフェをオープンしたのは2013年。「僕がアラビカ種のコーヒーに出会ってから、多くのコーヒー好きのみなさんと新しいコーヒーの楽しみ方を共有してきました。この6年でベトナムのコーヒー文化は大きく変化したと実感しています。これからさらに発展し続けていくとうれしいですね」。ベトナム各地に広まったニュースタイルのコーヒーは、ここから生まれたという伝統的なカフェだ。