アメリカのコーヒーブームを牽引する、
サンフランシスコのコーヒーヒストリー。
「サードウェーブ」の発信地として、一躍コーヒーカルチャーを牽引する街として注目を集めるようになったサンフランシスコ。コーヒーとの関わりは深く、19世紀のゴールドラッシュまでさかのぼる。移民とともに多彩な食文化も持ち込まれ、エスプレッソがイタリア人によって広められたのが、サンフランシスコにおけるコーヒーカルチャーの始まりだ。
ノースビーチにある『Caffe Trieste(カフェ トリエステ)』は1956年創業。フランシス・フォード・コッポラ監督が『ゴッド・ファーザー』の脚本を執筆したことでも知られている。焙煎された豆を買うのが一般的だった当時、イタリアの深入り豆は手に入らず、自社で焙煎を始めたという。「ヨーロッパ移民たちは、これぞヨーロッパの味!と喜んで通ってくれた」と、創業者の孫で3代目のイーダ・パンターレオ・ゾービ氏。
1878年には、のちにカップテスト法や真空缶詰コーヒーを開発する『HILLS BROS COFFEE(ヒルスコーヒー)』が、コーヒー豆を扱う小売店として誕生。「大量生産・大量消費」の「ファーストウェーブ」の立役者だ。
1960年代に広まった、「セカンドウェーブ」といえばシアトル発の『Starbucks Coffee(スターバックスコーヒー)』が有名だが、創業のモデルとなったのはサンフランシスコ発の、『Peet’s Coffee & Tea(ピーツコーヒー&ティー)』。1966年にオランダ移民だったアルフレッド・ピート氏によってオープン。高品質な深入り豆を使ったコーヒーが特徴で現在も根強い人気のチェーン店だ。
日本の喫茶店文化から影響を受けて生まれたといわれる「サードウェーブ」は2002年に立ち上げられた『Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)』が代表格。ガレージでの焙煎からスタートし、世界へ発信できたのは、1億ドル以上もの投資がシリコンバレーのベンチャーキャピタルから集まったからだ。いつの時代もコーヒーカルチャーの先を走るサンフランシスコ。次の’’波’’に注目したい。