「カップから 農園まで」の 源流を辿る
ハワイ島コナ地区に「UCC ハワイコナコーヒー直営農園」がある。 カップに届くまでの長い道のりはここからスタートする。
「UCCハワイコナコーヒー直営農園」が解説されたのは1989年。ジャマイカのブルーマウンテンとともに、UCCの事業特性でもある「カップから農園まで」の象徴的な存在として、親しまれている。園内の高台からはハワイの豊かな海とコーヒーの木々が眼下に広がり、整備された農園の美しさに思わず息を呑んでしまうはずだ。
ハワイ島コナ地区フアラライ山の裾野、標高460m付近に位置し、総面積約14ha(東京ドームの面積の約3倍)の中に約1万5000本のコーヒーの木を栽培する。苗木を育てるところから、収穫、精製し、焙煎に至るまで一貫して品質を農園内でコントロールしており、コナ地区のなかでも高い栽培技術を誇る。その農業技術が認められて、1993年にはアメリカ農務省から「第3回 米国農産物貿易の殿堂」入りが認められたほど。
苗木は直営農園内で種(種子)から育て、主根が真っすぐ伸びたものだけを選び、弱い苗は取り除く。水分、養分、病害虫などを徹底管理し、園内の苗床で約3ヶ月かけて生長させた健康な苗木だけを農園に植え付ける。コーヒーの木は植えてから25~30年経つと付ける実の量が減ってくるため、古い木は手で掘り起こしている。その際に土の中に含まれている溶岩を慎重に取り除き、次に植える苗木の生育の妨げにならないようにする。毎年収穫時期の後には、木の状態を確認し、収穫量を期待できない木は、ひざ下ぐらいの高さを残して幹をバッサリ切る「カットバック」を行っている。
「毎年、1000本ほどコーヒーの木の植え替えを進めており、持続的に質の高いコーヒーを提供できるように努めています。農園内でもエリアによって雨量が異なるため、生育に差が生じやすいのですが、均一に収穫できるように心がけています」と、「UCCハワイ」のジェネラルマネージャー池田真琴は語る。
徹底した管理のもと育ったコーヒーチェリーは、熟練した農園のスタッフたちの手により、最も適した熟度の実のみをハンドピック。その日のうちに精製され、しっかり天日干しされた後は脱穀し、園内にある焙煎機で豆のうま味を最大限生かす炒り具合でローストする。
品質管理は直営農園に限ったことではなく、その他のコナ地区にある農園に対しても促している。その取り組みとして、UCCでは毎年11月に行われる「コナコーヒー・カルチュラル・フェスティバル」内で、品質コンテストを実施。毎年60を超える農園が参加するほどの規模で、大いに賑わいを見せている。
そんなさまざまなこだわりが詰まった新鮮な一杯をコーヒー農園と青い海を見ながら、ゆったりとした気分で飲めるのが直営農園最大の魅力であり、ここでしかできない醍醐味。UCCが誇るノウハウを生かし、栽培から焙煎、抽出まで一貫して管理・運用を行っている「UCC ハワイコナコーヒー直営農園」は、コーヒーのすべてを体験できる地として、今後も多くのスマイルを生み出し続けるだろう。