ジャマイカならではの
レゲエミュージック&ストリートアート。
ジャマイカといえば“レゲエの神様”、ボブ・マーリーが浮かぶ人は多いはず。ジャマイカ人にとって、音楽が欠かせないものであると同時に、ストリートアートもまた、ジャマイカ人の生活に寄り添い続けている。
●Music
ボブ・マーリーの故郷、レゲエ発祥の地。
独特なリズムとベースラインで世界中のミュージシャンに影響を与え、音楽の一形式となったレゲエ。1950年代のジャマイカで、スカ、ロックステディ、メントなどの音楽から誕生した。1960年代には島内に広まり、1970年代初頭には、ジャマイカのミュージシャンであるジミー・クリフが主演した映画『ハーダー・ゼイ・カム』によって初めて世界中の人の耳に届く。
同時に、ジャマイカの音楽は多様化していく。スカやロックステディの歌謡曲路線から外れ、メッセージ性の強いレゲエミュージックが世界的に波及していく。1972年にイギリスのレコード会社と契約したボブ・マーリーは、とてつもなく大きな存在だ。同時に本島では、DJたちの躍進が始まる。サウンド・システムを舞台に、ムーブメントを作っていく。
1981年にボブ・マーリーが逝去した頃から、国際的に活躍するレゲエアーティストは勢力を失っていく。それに代わり、レゲエから派生したジャンルであるダンスホールのブームが到来。1990年代には島内のアーティストが世界的な成功を収めるように。ジャマイカ人以外のレゲエアーティストの活躍も目立つようになり、レゲエやダンスホールは世界の音楽へと成長していく。
ジャマイカ人にとって音楽は活力の源であり、どこにいてもその鼓動を感じられる。ジャマイカ最大のレゲエの祭典は、7月に開かれる「レゲエ・サムフェスト」。ジャマイカに来たからには、フェスティバルやライブ、クラブで、全身で音を浴びたい。
●Art
ストリートアートも盛ん、アーティストの育つ街。
ジャマイカの首都、キングストン。人口100万人を超え、ニュー・キングストンとも呼ばれるアップタウンには、高層ビルが立ち並ぶ。一方ダウンタウンには、キング・オブ・レゲエのボブ・マーリーが少年時代を過ごした場所がある。
のちにボブ・マーリーが暮らしたキングストンのアップタウンには、ボブ・マーリー博物館やボブ・マーリー像、彼の妻であるリタ・マーリーが購入した、レコーディングスタジオとプレス工場を兼ねるタフ・ゴング・スタジオもある。博物館の周りには壁画が描かれ、彼の人生のストーリーを垣間見ることができる。
そんなキングストンは、自然とアーティストが集まる街となった。ストリートアートも盛んで、通りを埋め尽くす壁画には、ラスタファリアニズムを題材とした作品や、人気の音楽アイコン、地元の政治指導者、宗教シンボルなどが描かれる。
2015年頃からはダウンタウンの再開発が進み、アートディストリクト地区には、59の新しい壁画、2つのアートスペース、イベントやフェスティバルが行われるスペースが誕生し、若いアーティストによる色鮮やかな壁画群が並ぶようになった。ほとんどの作品はキングストンの美術大学・エドナマンリーカレッジの生徒や卒業生によるものだが、ヨーロッパやアメリカからの参加者もいた。また、一帯にはおしゃれなカフェやレストラン、ブティックも立ち並び、訪れる人々を魅了している。なお、セントアンドリュー教区の警察が地区のあちこちに配備されており、安全に歩くことができる。