イタリアの歴史と
豊かな食文化。
南北に長いイタリアは歩んできた歴史や文化もさまざま。 そして日本と同じように四季があり、海と山に囲まれた国だから食材も豊富。
イタリアの歴史は古く、始まりは紀元前5世紀の共和制ローマの成立までさかのぼる。その後、紀元前27年にローマ帝国は帝政へ移行し、繁栄を経て、イタリア各地に都市国家が誕生。ヴェネツィア、ジェノヴァ、アマルフィ等の海岸沿いの都市は海外貿易の拠点となり、外国から文化や食材がイタリアへと集まった。
14 〜 16世紀にかけては、ルネサンスと呼ばれる芸術の時代が花開いた。銀行業で成功したメディチ家が芸術の振興に力を注いだことにより、フィレンツェを中心に建築、 絵画、 彫刻、 音楽、文学等が発展。イタリアを訪れると、街のあちこちでルネサンス時代に建てられた建築があり、間近で触れることができる。ルネサンス建築の特徴は、ミラノの大聖堂を代表とする空に突き出すような尖塔が並ぶ中世のゴシック様式に比べ、シンプルであること。フィレンツェの名所でもある、サンタ・ マリア・デル・フィオーレ大聖堂がその代表だ。
その後は一転し、16 〜 18世紀にかけては、ローマのサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会のように、金や大理石をふんだんに採用した装飾があしらわれたバロック様式が主流に。このようにさまざまな時代を経て1861年にイタリア王国が成立するまで、イタリアの各都市国家は独自に発展。そのため、統一後も地域ごとの郷土色が色濃く残り、食文化も個性豊かだ。
アルプス山脈のふもとにある北部は、冬は寒く、生ハムやサラミ等保存性の高い加工肉の技術が進んだ。フランスと国境を接するため、バターや生クリームを使った濃厚な料理もたくさん。料理に欠かせないワインも、近隣のドイツやフランスを感じさせるものが多く、ピエモンテ州の「バローロ」はエレガントで調和のとれた味わいで、イタリアを代表する高級銘柄。一方、南部は年間を通して温暖な気候で、イタリア料理に欠かせないオリーブやトマトソースを使った料理が特徴。また、三方を海で囲まれている地形のため新鮮な魚介類を使った料理も多い。さっぱりとした料理に合うカジュアルな赤ワインも多く生産されているが、さらに有名なのは太陽をたっぷり浴びて差だったレモンを使った食後酒「リモンチェッロ」。
20州あるイタリアで、何都市も訪れたくなるのは、それぞれに異なる魅力があるから。変わらないのは、どの都市でもエスプレッソ文化が深く愛され続けていることだ。