エスプレッソガイド編
エスプレッソ
ミラノから電車で約1時間の風光明媚な街・ベルガモに、
イタリアの新しいコーヒー文化を牽引する店がある。
それが、2014年にオープンしたBugan Coffee Lab。
コーヒーについて学びながら1杯をいただくスタイルのコーヒー研究所だ。
「20年間この街でバリスタとして働いていました。
毎日エスプレッソを淹れているうちに、
ふとコーヒーの本質を知りたくなったのです。僕は一体何を扱っているのかと。
2000年頃から生産地を訪れ、海外のカフェにも目を向けるようになりました。
世界に誇れるエスプレッソの国として、もっと美味しいコーヒーを提供したい、
1杯のなかにある物語を知ってもらいたいという思いが強くなり、
飲んで学べるコーヒーラボをオープンしたのです」
と、オーナーのマウリッツィオ・ヴァッリさん。
豆の種類、産地、焙煎、器具、飲み方。
コーヒーにはたくさんの楽しみ方があることを初めて知ったイタリア人は驚き、
海外のツーリストはスぺシャルティコーヒーを求めてわざわざ訪れ、
メディアからも注目を集めるように。
現在はベルガモ旧市街と2店で、コーヒー文化を伝えている。
-
Q1
イタリア人にとってエスプレッソとは?
A1
朝に1杯、ランチ後に1杯、夕方に1杯、ディナー後にも1杯と、イタリア人にとってエスプレッソは長い間、“習慣”のようなものでした。でも最近は少しずつですが変わってきていると感じています。いいものにはお金を払うという動きがあり、エスプレッソに対する意識も変化。たとえば、豆の生産地に興味を抱いたり、シングルオリジンの豆でエスプレッソを飲みたいというお客様が年々増えています。
-
Q2
どんな傾向がある?
A2
地方と都市部で差はありますが、若い人を中心に新しいスタイルを柔軟に受け入れるようになってきていると感じます。特にミラノにサードウェーブの影響を受けたカフェが次々とオープンしたことの影響を受け、豆の産地や焙煎によって風味が異なることや、エスプレッソだけでなくさまざまな淹れ方があることが広がりました。コーヒーの魅力を伝えたいと思っている私たちにとって歓迎すべき出来事でした。
-
Q3
北部と南部で味わいは異なる?
A3
北部ではアラビカ種が主体で浅炒りのため、酸味やまろやかさが感じられ、抽出スピードも速くさらっとした飲み口です。ローマ以南では、ロブスタ種が入った深炒りの焙煎なので、苦味やコクがあるしっかりとした味わいのエスプレッソが好まれます。どちらも砂糖を入れるのが従来のスタイルで、デザートと一緒に飲む習慣はありません。エスプレッソを飲む時は、コーヒーそのものの味わいをたしなむのがイタリア人スタイルです。
-
Q4
今後、どのように変化していくと思う?
A4
単にコーヒーを飲むだけでなくコーヒーそのものの奥深さに興味を持つ人がもっと増えてくれるといいなと思っています。『Bugan Coffee Lab』では、カッピングや焙煎等、コーヒーを学びたい人に向けたスクールも開講しています。バリスタのプロを目指す若者から、近所に暮らす90歳のおばあちゃんまで幅広く受講いただいています。今後、イタリアの伝統的なエスプレッソ文化や新しいコーヒー文化が進化していくことを期待しています!