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エスプレッソの国、イタリア。新しいチャレンジを始めたニューウェーブから長く愛され続ける老舗まで、ミラノ、ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマ、ナポリという5都市の“今”を牽引する地域ごとの特徴を知って旅気分を楽しんで。
Milano
素早い抽出で苦味を抑えたライトなエスプレッソが伝統的なミラノ。近年は異業種ジャンルからの参入や海外出身のオーナーのカフェも続々登場。淹れ方を選べたり、自家焙煎やシングルオリジンコーヒーを提供するサードウェーブ系カフェも増えている。
ファッショニスタが集う
ミラノのハイセンスカフェ。
2018年にオープンしたばかりのスペシャルティコーヒーを提供するカフェ。「Cafezal」とは、ポルトガル語で「コーヒー農園」を意味し、買い付けから焙煎まで管理された自慢の一杯を提供。青を基調としたモダンな店内では、ヘルシーな食事やフレッシュジュースも楽しめるため、新しいことに敏感な人々で連日賑わっている。
ご近所さんもツーリストも夢中!
伝統菓子がずらりと並ぶ老舗。
素朴なドルチェが人気の1900年初頭オープンの老舗。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『最後の晩餐』で有名なサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会に近いため、住宅街にありながらツーリストも訪れる。コーヒー豆はアラビカ種90%に10%のロブスタ種をブレンドしたものを使用。
パスティッチェリア サン カルロ
Pasticceria San Carlo
Venezia
18世紀半ばに貿易で富を得た人々の社交場としてカフェが流行したヴェネツィアは、カフェ発祥の地といわれる。注目のシェフが手がけるニューウェーブのほか、当時の面影を残す、優雅な老舗カフェが多い。エスプレッソの味わいは店舗ごとに異なるのが特徴。
ミシュラン三つ星の味!
ヘルシー志向の人にも。
最年少でミシュラン三つ星を取得したマッシミリアーモ・アライーモ氏が手がけるカフェ。2016年12月にオープンし、瞬く間に人気店に。エスプレッソはもちろん、「Caffè d'orzo」と呼ばれるイタリア人にはおなじみのノンカフェインの大麦コーヒーや、グルテンや乳製品を含まないペイストリー等も人気。
STANDARD
絵画や調度品でしつらえられた、美術館のようなインテリア。エスプレッソは、挽きたてのジャマイカ産を使用。
最高級リストランテの
エレガントなカフェ。
ヴェネツィア観光の中心、サン・マルコ広場に面したリストランテ『Gran Caffè Ristorante Quadri(グランカフェ リストランテ クアドリ)』1階にある、エレガントな老舗カフェ。18世紀に創業というだけあって格調の高さは群を抜いている。コーヒーもヨーロッパ最古という焙煎機で丁寧に焙煎した豆を使用。
グランカフェ クアドリ
Gran Caffè Quadri
Firenze
ルネサンス発祥の地として華やかな時代の面影を残すフィレンツェ。気軽なバールもあるが、街全体が優雅な気配をまとっているように、ボディ感もありつつ、バランスのとれたコーヒーをゆったりと落ち着いてたしなむことができる老舗のカフェも多い。
ホスピタリティを重んじた
先進的なコンセプト・バール。
1年の半分はコーヒー豆の生産地を訪れるというオーナーのフランチェスコ・サナーポさんが最も大切にしているのは、コーヒーを愛し、新しい楽しみ方を提供し、知識を共有すること。チャイラテにエスプレッソを加えた、オーストラリアでは定番のカフェメニュー「ダーティチャイ」等、外国のメニューも。
ディッタ アルティジャナーレ
Ditta Artigianale
職人技を味わいながら
ゆっくりとした時間を。
フィレンツェの中心、レプッブリカ広場に面した創業1733年の老舗カフェ。30年以上の経歴を持つバリスタのチロ・カロッツィーノさんが抽出。パティシエのフランチェスコ・リッピさんが手がける、コーヒーを使ったプチフールや彩り豊かな自家製ドルチェも人気。
Roma
歴史のあるカフェが多く、しっかりとした苦味のあるエスプレッソを楽しみに、日に何度も立ち寄るのがローマっ子のカフェの楽しみ方だ。最近はスペシャルティコーヒー専門店が登場するも、伝統的なカフェ文化のなかで新しい扉が開かれたばかりだ。
新しいコーヒー文化の
光を灯した専門店。
イタリア語で「灯台」を意味する、ローマ初のスペシャルティコーヒー専門店。SCA(スペシャルティコーヒー協会)に認定された単一農園からアラビカ種100%の豆を仕入れている。ランチにはベジタリアンやヴィーガンメニューも選べる、豊富なフードメニューがずらりと並び、ヘルシー志向のローマっ子に人気。
イタリア人気質たっぷりの
ローマの老舗カフェ。
地元住人だけでなくツーリストにも愛される、1919年創業の老舗店。新メニューにも挑戦し、最も特徴的なメニューの「カフェ・チョコラート」はチョコレートで花を描いたカップにエスプレッソを注いだ一杯で、「イタリア男性は女性が大好き! サービスで作ったのが始まり」とバリスタのフランチェスコ・クルードさん。
シアシア カフェ 1919
Sciascia Caffè 1919
Napoli
「エスプレッソの聖地」といわれるナポリでは、抽出圧力が高いレバー式のマシンで淹れる、濃くて苦いエスプレッソに砂糖をたっぷりと入れて楽しむ。 タクシードライバーは「チップはいらないからコーヒー代を」と口にする人もいるほどコーヒー好きが多い。
スペシャルティコーヒーを
アーティスティックな店内で。
スペシャルティコーヒーに出合い、「自分が驚いた体験をナポリのみんなにもしてほしい」とバリスタに転職したオーナーのヴィンチェンツォ・フィオレットさん。こだわりは、シングルオリジンの高品質の豆を使うこと。ハンドドリップで淹れたコーヒーをワイングラスで提供するなど、好奇心を引き出す仕掛けがたっぷり。
ヴェンティメトリクアドリ スペシャルティ コーヒー
Ventimetriquadri Specialty Coffee
ナポリの古き良き
クラシカルカフェ。
1860年に創業し、1973年に現オーナーの手に渡った老舗カフェ。店内は、ナポリの中心にあるガレリアを設計した建築家が手がけた由緒ある見事な内装。「ベースとなるエスプレッソに+αを加えていくことでおいしくなります」と支配人のジェンナーロ・ポンツィアーニさん。
グラン カフェ ガンブリヌス
Gran Caffè Gambrinus
ナポレターナを
サロンスタイルで。
「カフェに行かない? の合図は、あなたと一緒に過ごしたいという意思表示です」と、ナポレターナを提供するオーナーのグリエルモ・カンパヨーラさん。ナポレターナとは、特別な器具で圧力をかけずに時間をかけて抽出するコーヒー。エスプレッソに比べ軽い味わいが特徴。
グラン カフェ ラ カフェティエラ
Gran Caffè La Caffettiera