UCC ひと粒と、世界に、愛を

So, Coffee?

COLUMN

芸術家たちの愛した、
ウィーンのコーヒー⽂化。

Dec 11.2021

ウィーンを舞台に活躍した音楽家や画家など多くの芸術家たちはカフェに集い、コーヒーを愛した。そこに創作意欲をかき立てるものがあったからだ。

18〜19 世紀のウィーンはヨーロッパ中の音楽家が集う、音楽の都でもあった。ザルツブルクに生まれたモーツァルトは、25歳からウィーンで活動。オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョ ヴァンニ」「魔笛」など数々の名曲を残した。楽聖と称えられるベートーヴェンは、22 歳から56歳で亡くなるまでウィーンに住んだ。二人はそれぞれ『カフェ・フ ラウエンフーバー』で演奏したことがあり、記念碑が店の外壁に掲げられている。ベートーヴェンは頻繁に引っ越したことで知られ、ウィーン中心地や難聴の療養も兼ねて移り住んだウィーンの森の地区ハイリゲンシュタットに住居跡が残っている。ちなみにベートーヴェンは無類のコーヒー好きで、毎日きっちり60粒の豆を数えてコーヒーを淹れていたという。

『カフェ・フラウエンフーバー』でモーツァルト、ベートーヴェンが演奏したことを示す記念碑。

19世紀末から20世紀初頭にかけてのカフェは、芸術家や地元の名士などが好んで集まる場所だった。思索や議論の場としてウィーン文化の中心として発展したのである。例えば『カフェ・ムゼウム』 は、クリムト、シーレなどの奇才を輩出した分離派の作品の発表の場であったセセッション(分離 派会館)の近くにあったおかげで、彼らのサロンと化した。また『カフェ・ラントマン』はマーラーやフロイト、作家や俳優のたまり場であった。カフェは芸術家が創作のエネルギーを得る源泉だったともいえるだろう。

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