[Health&Beauty]
コーヒーの香りは脳の活動に
大きな影響を与えている!?
とかく視覚、聴覚に頼りがちな現代人。でも、実は嗅覚の及ぼす影響力は強いもの。コーヒーのよい香りを使いこなすと、ストレスマネジメントや精神衛生に大きく役立つかも !?
コーヒーは飲まずとも多くの効果を発揮する!?
コーヒーを飲むと、さまざまな健康効果のあることを示す研究や論文が年々増えてきた。カフェインをはじめ、各種成分が体内で精妙な働きを発揮することは多くのメディアでも取り上げられているので、ご存じの方も多いだろう。ただ、最新の研究ではコーヒーを飲用するのではなく、カップから立ち上る芳しい香りを嗅ぐだけでも、密かなパワーを発揮するということがわかってきた。
「コーヒーブレイクの習慣が一般化するより、はるか以前の日本では、恐らく入浴が気分転換になっていたはずです。諸外国と異なり、日本人は強い体臭を嫌うので、入浴によって匂いをリセットしてきたのです」と語るのは古賀良彦先生。
一般に冷涼な地域の民族は、毎日浴槽で入浴することが少ない。そこに香水の文化が発達した。一方、高温多湿の日本では衛生面への配慮からも入浴が励行されてきた。
「そして、日本人は何でも究めます。お茶なら茶道、剣なら剣道といったように流儀を探り、〝道〞にしたがる。コーヒーも同じで、名物マスターのいる店に行けば、マスターの手によるブレンドをありがたく頂戴します」
ブレンドを重んじるのも日本人ならではだという。
「いくつもの生薬を配合した漢方薬に早くからなじんできたために、いいとこどりをつい求めがちですが、例えばコーヒーをブレンドすることなく、豆の種類ごとに精査してみると、それぞれに特徴的な香りがあり、香りごとに違った働きがあるようだと気づき、研究をしてきました」
今回は古賀先生の研究成果と近年、諸国で進むコーヒーと香りの研究から得られた新情報を紹介する。
古賀良彦先生
1971年慶應義塾大学医学部卒業、1999年に杏林大学医学部附属病院精神神経科教授に。現在はNPO 法人日本ブレインヘルス協会理事長。著書に『週末うつ』(青春出版社)、『熟睡する技術』(メディアファクトリー)ほか。