3. 産地ごとに異なるコーヒーの香り特性を暮らしに生かそう!
コーヒーの香りは、コーヒーの産地によってヒトの脳に対する効果が違うという。古賀先生の実験によると、「コーヒーの量、濃さ、挽き方、温度などを一定にして、被験者に嗅いでもらったところ、ガテマラとブルーマウンテンを嗅いだ方にはα波が多く出現しました」。α波とはリラックス時に現れる脳波。このときに脳はゆるやかに、円滑に活動しているとされる。
「一方、ブラジル・サントスやマンデリン、ハワイ・コナを嗅ぐと、P300という脳波が優勢になっていました。これは集中力が高まり、情報処理速度が上がっているときに盛んに見られる状態です」
コーヒー豆のどの成分が、この差をもたらしたのかは不明とのこと。
「コーヒーの香り成分は800種類以上にも及ぶうえ、香りを決定しているのはそのうちでも含有量の少ない、マイナーな成分だろうといわれています」
日頃コーヒーを飲む頻度が少なく、香りを嗅ぎ慣れていない人は、違いを感知しにくいのかもしれない。
「産地ごとの香りの違いは、音でいう1ヘルツの周波数の差ほど微妙なものではなく、もっと決定的な違いのはずです。いまは嗅ぎ分けられなくても、何度か接すれば誰でも必ず違いを嗅ぎ分けられるようになると思います。違いがわかれば、脳にも違った反応が起きるのは十分に考えられることですね」
実際、産地ごとに異なる香りの効用は明らか。
「疲れ気味なら元気を求め、ブラジル・サントスを楽しむ。逆に、緊張が強いならガテマラで一服などといったように、場面ごとに使い分けて楽しむのがおすすめです」
まだまだ未知なことが多いコーヒー。これからの研究が進むにつれて、新たな効果が明らかになるかもしれない。
\KOGA’S VOICE/
コーヒーの効能で産地を選ぶ日がくるかも!?
古賀良彦先生
1971年慶應義塾大学医学部卒業、1999年に杏林大学医学部附属病院精神神経科教授に。現在はNPO 法人日本ブレインヘルス協会理事長。著書に『週末うつ』(青春出版社)、『熟睡する技術』(メディアファクトリー)ほか。