【コーヒーの基本(4)】
ネルドリップ編
Dec 04.2021
コーヒーのおいしさを最大限に引き出す抽出法として、古くから普及しているネルドリップ。ここでは淹れ方のコツやネルの保存方法などを紹介します。
独自の技術を要する昔ながらの抽出法
ネルドリップの「ネル」とは、織物の種類のひとつ「フランネル」のこと。コットン100%のものが多く、布の片面または両面が起毛しているのが特徴。コーヒーの抽出に利用されるネルは片面起毛が主流となっている。片面起毛はどちらを内側にするかによって特性に変化が生じる。
起毛面を「内側」にすると、繊維がコーヒーの微粒子を先端で捉えて布目に詰まるのをさえぎり、より理想的な抽出が行える。その反面、起毛に付着した微粒子が洗いづらく、連続使用すると、洗浄によって起毛が減り、寿命が早まる。起毛面を「外側」にするとコーヒーの微粒子が通りやすくなるので、使用頻度が高い場合は、安定した抽出を優先させて「外側」にすることが一般的。
ネルドリップはペーパードリップと同じハンドドリップであることから抽出方法も同様かと思いがちだが、より高度な技術が必要。注湯するとペーパーと違いネルフィルター全体が膨らむため、内部で対流が起き撹拌される。ネルフィルターの動かし方や注湯方法で対流が代わるので、ここでの技術差が味に違いを生む。対流を見誤ると湯が粉に均等に当たらず、うま味を抽出できず雑味が増す。また、湯を勢いよく注ぐと粉が暴れてしまい雑味を出す原因となる。