So, Coffee?

メルボルン港を介してオーストラリア国内に輸入されるコーヒー生豆は毎日約30トン。これは約300万杯に相当するほどで、人口482万人のメルボルンでは、大人がひとり1杯毎日飲む計算に。コーヒー好きが集まるメルボルンはカフェ激戦区。そんななか、現在注目を集めるのは「スペシャルティコーヒー」だ。

もともとサスティナビリティ（持続可能性）やトレーサビリティ（追跡可能性）などに対する意識の高いメルボルンっ子にとって、産地や農園、そして作り手の顔が見えるコーヒーは瞬く間に注目を集めた。もちろんコーヒー好きの舌を納得させるクオリティがあってこそ。以来、「スペシャルティコーヒー」がメルボルンのカフェに定着。さらに、近年では豆の買い付けから焙煎までを自社で行うカフェが増えている。背景には「焙煎したての一番おいしい状態で提供したい」というこだわりがある。

このメルボルンのカフェ文化の先駆けといわれているのが2005年にマーク・ダンドン氏がオープンしたカフェ『ST.ALi（セント アリ）』だ。マーク氏は現在は『SEVEN SEEDS（セブン シーズ）』のオーナー。『ST.ALi（セント アリ）』はサルバトーレ・マラテスタ氏が引き継いでいる。以降、豆本来の味にこだわった個性あふれるカフェが増え、メルボルンはカフェの街として知られるようになった。

メルボルンを訪れたら必ず立ち寄りたい、４つのカフェをご紹介。

Brother Baba Budan／ブラザーババブダン
シティ中心部にある人気店。

天井いっぱいに吊られた椅子が印象的な店内はいつも満席。コーヒーメニューのほかに、メルボルン発の『Hunted＋Gathered』のチョコレートを使った、ホットチョコレートも人気。系列店『SEVEN SEEDS（セブンシーズ）』のコーヒー豆を使用。

ST.Ali／セントアリ
カフェブームの火付け役。

現在のメルボルンのコーヒーカルチャーの発祥といわれる、伝説のカフェ。「World Latte Art Championships Coffee Fest in USA」などで世界チャンピオンにもなっている日本人バリスタ深山晋作さんの作る、きめ細かなフォームのラテを求めてファンが訪れる。

Market Lane Coffee／マーケットレーンコーヒー
マーケットにある憩いの場。

メルボルンに日本人バリスタが大勢現れる前から、オピニオンリーダーとして活躍する石いしわたとしゆき渡俊行さんが、すべての豆の品質管理を担うカフェ。買い付けから焙煎までを行い、カッピングのワークショップも行っている。

SEVEN SEEDS／セブンシーズ
契約農家とつくる豆を、日々焙煎。

店名の由来はコーヒーが世界に広がるきっかけにもなった、7粒の豆の逸話(※)に由来。農家と提携し、栽培方法まで管理した自慢の豆を、最高の状態で提供するために、焙煎は毎日行う。コーヒーへのこだわりを強く感じるカフェ。

※17世紀頃にコーヒー豆をアラブからインドに持ち出そうとした僧侶Baba Budan（ババブダン）が、コーヒー豆を7粒腰巻きに隠し、厳密な警戒を突破したという逸話。