日仏の人々の情熱が奇跡を呼んだ
この島にはかつてフランスの王侯貴族に愛されたコーヒーがあるはず」 。1999年にレユニオン島を訪れたUCCの農事調査室スタッフは、フランス政府やCIRAD(フランス国立農業研究開発国際協力センター) 、そしてレユニオン県庁に伝えた。しかし、対応した県庁農政局の人々は島内にコーヒーの木が存在することすら知らなかった。島に上陸さえすれば何かし情報があるのではと思っていたUCCの担当者は落胆した。もともと確証があったわけではない。
「このまま夢物語で終わってしまうのだろうか」と諦めかけた。しかし、県庁農政局の局長は、遠い異国の地からやってきた日本人の話に熱心に耳を傾け、大きな共感と関心を寄せてくれたのだ。それから数日間、UCCの担当者は農政局長とともに個人の庭先などを探し回ったが、この時は発見には至らなかった。その後、UCCの情熱が伝わったのか、レユニオン県庁が、UCC担当者の帰国後も調査を続行。彼らも、自分たちの島が個性的なコーヒーの栽培地であったことを誇りに感じ、再びコーヒー栽培を復活させたいという夢を抱いてくれたのだ。
そして、伝説のコーヒーの存在を信じ続けた、日本とレユニオン島の人々の想いが通じた日がとうとう訪れる。ブルボンポワントゥらしきコーヒーの木が見つかったのだ!その知らせを受けたUCC社内は大いに沸き上がった。伝説のコーヒーが、60年の時を経て、日の目を見たのだ。その興奮はUCCだけにとどまらず、レユニオン県庁でも同様だった。
その熱はフランス本国にも伝播する。フランス本国のCIRADも、伝説のコーヒーの発を高く評価。日仏の国境を超え、ブルボンポワントゥの復活プロジェクトをともに進めることを約束した。この瞬間から、絶滅したと思われていたブルボンポワントゥの再生と復活へ向けての長い道のりがスタートした。