
【コーヒーの基本(特別編)】
Q. 昔はどうやってコーヒーを淹れていたの?
Dec 07.2021
A. 焙煎したコーヒー豆を砕いて粉にし、それを煮出して飲んでいました。
コーヒー粉を煮出して飲む方法は、今もトルコのターキッシュコーヒーや中近東のアラビアコーヒー、エチオピアのコーヒーセレモニーなどで続けられている。これらはコーヒーの抽出液 に粉が混ざった状態でカップに注がれる。トルコでは一般的に砂糖を加え、アラビア各地ではカルダモン等のスパイスを、エチオピアでは少量の塩等を加えて提供されることもある。
コーヒー飲用がヨーロッパに伝わった後、1700年代にはコーヒーの粉を袋に詰めて煮出す方法が考案された。抽出液と粉を分離したわけである。さらに1800年代に入って間もなく、フランスでドゥ・ベロアという人物がコーヒー粉を熱湯で濾して抽出 する器具を開発する。これが現在のドリップコーヒーの原型である。これ以降、サイフォンやパーコレーター等のさまざまな抽出器具が開発され、コーヒーは一般化し、さらにその消費を 拡大していくことになった。


●コーヒーの歴史を彩ってきた名抽出機
コーヒーがアラビア半島からヨーロッパ大陸に普及していく中で進化していったのが抽出機。ここでは、かつて活躍した歴史的名品を厳選してご紹介。

ドゥ・ベロワのポット
19世紀ごろのフランス製。18世紀までコーヒーは煮立てて作り、コーヒー粉を濾さずに飲むのが一般的だった。その飲用スタイルに革命を起こしたのがこちらのポット。内部に金属網を入れることによって、コーヒー粉を濾してから飲めるようになった。

カフェッタ
1910年ごろのイギリス製。お湯が沸騰するとふたについた笛が鳴り、出来上がりを知らせる仕組みとなっている。

ナービア式コーヒーメーカー
19世紀中ごろのイギリス製。サイフォン型抽出機の中では最も古い型式のひとつ。フィルターは金属製。

ベドウィンポット
19世紀ごろからアラビア半島の国々やエジプトを中心に使用されてきた。現在も、それらの国々では実際に使われている。コーヒー粉と水をポットの中に入れて加熱し、吹きこぼれそうになったら火から外し、泡の勢いが収まったらまた火にかけるという動作を繰り返す。注ぎ口に干し草を詰めることでフィルターのように粉を濾すことも可能。
●現代の主な抽出方法
現在、さまざまな抽出器具がある。使う器具によって、抽出されるコーヒーの味わいには、それぞれ特徴がある。ここでは、「ペーパードリップ」「サイフォン」「エスプレッソ」の特徴を紹介する。

最も一般的なハンドドリップの手法。ドリッパーは素材や形状、抽出穴の数の違いなど、さまざまある。コーヒーに含まれる油分を適度に吸収するのが特徴で、透明感のあるすっきりとした味わいを楽しめる。

コーヒーの味わいがしっかりと抽出され、全体的にバランスの取れた丸い味わいに。条件がそろえば、誰が淹れても味の差が出にくいのも特徴。

ペーパードリップなどの抽出と違い、強い圧力をかけて短時間で、コーヒーの成分を抽出するため、濃厚な味わいに。最近では芸術的なラテアートの人気により、カルチャーとしてもコーヒーシーンを広げている。