知りたい! 教えて!もっとジャマイカのこと。
ジャマイカに移住して20年になる、観光ガイドのミヨコ・ウォルコットさん。個性豊かな食文化やコーヒーのトレンド、インターネット事情やSDGsの実情まで、ジャマイカの“今”をうかがいました。
Q 朝ごはんには何を食べる?
栄養を重視し、蒸したバナナやイモ類(さつまいも、ヤムイモ、ポテトなど)が主食。そこに、アキー&ソルトフィッシュやチキンなどを添えるのが、定番のジャマイカ流朝食!ポレッジと呼ばれる、とうもろこしの粉でできた甘いおかゆも好まれます。
Q ジャマイカ人はコーヒーばかり飲む?
ジャマイカ国内では、実はブルーマウンテンコーヒーを飲む機会はほとんどなく、インスタントコーヒーや紅茶が主流。また、体調が悪いときには、医者にかかる前にまずは症状に合ったハーバルティーを飲み、体を癒やして回復を待ってみるのが一般的です。
Q カフェやレストランなどのネット環境は?
ジャマイカでの生活は、インターネットなしでは成り立ちません! 回線は3Gですが、カフェやレストランでは無料でWi-Fiが使えるお店に客足が増え、若者のアプリ遊びやネットビジネスも一般的に。新型コロナウイルスの流行で、学校の授業や銀行取引もオンライン中心。
Q 有名なブルーマウンテンコーヒーは、どこでも飲める?
観光客や外国人が利用する飲食店にはブルーマウンテンコーヒーを置いていますが、地元民が利用するような飲食店にはインスタントコーヒー程度。その理由は、コーヒー豆の仕入れ価格が高いこと。ブルーマウンテン100%の豆は、基本的には輸出用に生産されています。
Q ジャマイカのSDGs*はどこまで進んでる?
ジャマイカにおけるSDGsは、自然災害や気候変動、国の多額の負債を含む経済的な脆弱性などにより、あまり進んでいないのが現状。SDGs促進のためのプログラムやコミュニケーションの継続、国家統計システム強化などの取り組みを行っています。*SDGs…Sustainable Development Goalsの略。2030年までに目指す、持続可能でよりよい世界のための国際目標のこと。
Q ジャマイカのコーヒートレンドは?
ジャマイカの人気コーヒーチェーンの「カフェブルー」では、ブルーマウンテンをはじめとする自社農園ブレンドのコーヒーが支持されています。そのほか、エスプレッソやラテも定番。アイスドリンクへのホイップトッピングや、フラッペ、パッションティーなども人気です!
〜Jamaican History〜
ジャマイカには元々、7世紀頃に南米から移住してきたタイノ族(アラワクインディアン)が穏やかに暮らしていた。しかし1494年、2度目の航海中だったコロンブスがジャマイカに到着。植民地化が進むとともに、1510年に移住してきたスペイン人による強制労働や持ち込まれた疫病によって、タイノ族は絶滅する。
1538年に首都がキングストン近郊のスパニッシュ・タウンに移されると、スペイン全盛時代を迎える。各地にサトウキビのプランテーションが作られ、アフリカからは多数の黒人奴隷が強制連行され、ジャマイカのサトウキビ産業は大きく発展した。
1655年、イギリス軍がジャマイカを侵略。1670年にはイギリス人の支配下におかれ、奴隷労働による砂糖生産の中心地に。しかし、過酷な労働を強いられた奴隷によって、各地で多くのゲリラ戦が勃発。奴隷制は1838年にようやく廃止される。
1962年に英国統治から独立するまで、ジャマイカには世界各国から移住者が増加していった。スペイン時代の名残はスパニッシュ・タウンの歴史的建造物や地名に残され、イギリスからは法律や言語、アフリカからは食文化やバイタリティーに富んだ精神が受け継がれている。そのほか、中国、インド、シリア、ネパール、イスラエル、フランス、ドイツなど、多種多様の文化が根強く残っている。現在も独自の文化を育んでいるのはそのためだ。
ミヨコ・ウォルコットさん
ジャマイカ在住 観光ガイド
1957年神戸生まれ。1991年にジャマイカへ移住し、観光ガイドとして多くの日本人観光客を迎える。2010年、日本人とジャマイカ人のスタッフとともに「チームJAMROCK」を結成。テレビ番組のジャマイカロケのコーディネートやリサーチ、観光ガイドブックの編集制作に携わる。